Tuesday, August 22, 2017

ドーハ、トランジットを利用して街中観光(天然サウナ付き)

 ブカレストからの帰路、ドーハでの滞在が8時間以上あった。夕方の六時につき、夜の2時半に発つというフライトだ。到着が遅いため、無料のトランジットツアーも利用できない。プロモーション価格のため、トランジットホテルサービスも利用できないと言われる。空港内はフードコートもあり、ネットもあり快適だが、8時間は長すぎる。ここは町に出て晩御飯を食べて戻ってくるだけでもいいだろうと考え、街へと出ることとした。TransfersのゲートではなくArrivalsのゲートに向かう。現在(2017年8月20日)、5日間有効のビザが無料で取得できる。
 ドーハのことをほとんど調べていなかったので慌ててネットで街への出方を調べた。この記事によると24時間有効のバスチケットを買うにはターンテーブルのある部屋から出てはいけないという。すでにこの記事を読んだ時にはすでに外に出てしまっていた。仕方なく、ATMで50リアルを引き出し、バスの乗り場へと向かった。するとアルガニムバスステーション行きの747番のバスがちょうど出発してしまった。ほかのバスを見ると、City Centerと書かれた777番のバスがあったので乗り込んでみた。運転手に2回乗るのかと聞かれ、そうだ、と答えると24時間有効のチケットを売ってくれた。しかし、結果として2回以上乗ることがなかったので、10リアルの罰金料金でもよかった。
 777番バスは周回ルートで、一度ヒルトンなどのホテルを回ったあと、city centerショッピングモールへと着く。そして、そのあとスーク・ワキーフの前を通り、空港へ行く。一度パール・カタールのほうまで行くので、City Centerにつくのに1時間半くらいかかった。あまりにおなかがすいたのでショッピングモール内で食事をとった。インドのビリアニ、28リアル。ただ結果として言うと、スークに行ってから食べたほうがよかった。
 その後また777番に乗りスークへ。バスを降りるとメガネが一気に曇る。スークにたどり着くことには汗だくになっていた。夜だというのに気温が38度もある。スパイス屋があったり鳥をコーナーがあったりと興味深いが、暑すぎて楽しんでいる場合ではなかった。



 歩いていると偶然イラン・レストランの前で声をかけられた。ペルシア語で尋ねると会話が始まりオーナーが来た。彼はドーハで生まれたそうで、テヘランにも家があるらしい。従業員はタジク人だった。オーナーに水たばこを吸ういい店を教えてもらった。それはカフェなどが並ぶエリアの裏路地に入ったところにある、Ras Abu Abbud Cafeというイラン人が経営する店だ。ホースではなく棒状のパイプが本体にくっついている、イラン南部で見られる古い水たばこだ。イラン式の紅茶を飲み、ミント味の水たばこを吸って18リアルだった。イランに比べたら高いが、まあ許容範囲か。



 従業員はイラン南部のバンダレ・アッバース出身の人が多かった。一年の半分をドーハで働いて過ごすそうだ。イランでは仕事がないことを嘆いていた。店内は現地のアラブ人などでにぎわっていた。



 10時頃まで水たばこを楽しみ、そろそろ空港に戻るかというところでトラブルが。777番のバスを降りたところでバスを待っていたのだが、30分近く待ってもバスが一向に来ない。何もしていないのに汗が止まらない。持っていた水もなくなろうとしていた。仕方がないので道路にでてタクシーを捕まえた。手持ちが30リアルほどしかなくひやひやしていたが、何とか間に合った。クーラーの利いたタクシーに乗ったときは天国かと思った。
 結局外に出てシティセンター・ショッピングモール、スーク、水たばこ、と100リアル(約3000円)ほどの出費となった。大量の汗をかいた後の不快感はフライト、そして東京に到着後の自宅までの移動を経るにつれて増していったが、ドーハの一端を見ることができ、ここでもイラン人と知り合うことができたのが収穫だった。


Friday, June 16, 2017

映画『セールスマン』について

 先週、イラン人の映画監督アスガル・ファラハディの新作映画『セールスマン』が日本でも公開され、主演女優のタラーネ・アリドゥスティさんも来日した。東京外大で開かれたトークショーでは、質問に答えていただいた上に、サインもいただき、一緒に写真をとることもできて感無量だった。


 





 昨年の九月、テヘランで公開されてすぐに映画館で鑑賞し、その後ももう一度映画館で観た。2度も見た理由はペルシア語だけということもあり、一度目だけでは理解できなかったことが多かったからである。とりわけ前作でもそうだが、ファラハディの映画は伝統と近代の価値の対立をひとつのテーマとしている。そのため、単に言語の問題だけではなく、イラン社会の伝統的な価値を知らないと、理解しがたいこともある。

 たとえば、なぜラナは警察に届け出ないのか、と疑問に思うこともあるだろう。これは映画内でも少し言及され、またタラーネさんが日本でこのように説明している。

 「どんな国籍のどんな背景の女性でも、性的暴行を受けたら絶対に迷うと思います。警察に行っても証拠がなければ訴え出ることは難しく、男性が違う証言をしてしまったら、逆に不利な立場になり得ます。」(Huffpost)

これに関しては日本でもつい最近、ジャーナリストの件が話題になっており、人事ではない。
 
 また、最後に暴行犯に対する振舞い方。決して彼の家族に暴露するようなことはしない。ペルシア語でaaberuという言葉がある。これは面子と訳すのがいいだろう。イラン社会において面子は非常に重要で、面子をつぶす行為は慎むような強固な規範が依然として存在するのだ。

 これらを踏まえた上で疑問に思ったのが主人公の犯人探しという振る舞いである。いくら頭にきたからといって、一人で犯人を追いかけるという行為はありうるだろうか。いかんせんリスクが高すぎる。映画では弱弱しい老人だったからよかったものの、屈強な男たちの集団だったりしたら殺されて終わりだろう。あまりにもリスクを省みない振る舞いではないか。というわけで、トークショーでは、この行為がイラン人の男性にとっても一般的なのかどうか、を聞いた。映画の内容にかかわる質問だったので、タラーネさんは後であなただけに答えてあげる、といって会の終了後に説明してくれた。曰く、イラン人の男性にとっても奇異な振る舞いだそうだ。しかし、その奇異さこそが重要だという。彼のような文化的な階層の人は普段の生活では暴力とは遠い生活をしている。しかし、そのような人ですら、怒りで我を忘れ暴力に走ってしまうことがありうる。描きたかったのはその対比だという。

 ところで、題名の『セールスマン』とはどのような意味だろうか。これはひとつには劇中劇である『セールスマンの死』からきていることは誰でもわかるだろう。しかし、ただそれだけではなく、映画に関するいくつかの意味がこめられている。現代はforushandehである。これは「売ること」を意味するforukhtanという動詞から派生した「売る人」という単語だ。ここで映画内の売る人を列挙してみよう。

①劇中劇『セールスマンの死』
②暴行犯の職業は露店商人
③事件の原因となったのは元住人は性を「売る人」

そしてタラーネが答えてくれたときに、このようにいった。先に触れた主人公の非理性的な行為、これが人としての魂を売り払った、という意味で、「売る人」でもあるということ。つまり、
④主人公=魂を「売る人」

というわけで、ほかにも数えられるかも知れないが、『セールスマン』というタイトルには少なくとも4つの意味が含意されている。





Sunday, April 9, 2017

キャレパチェを作ってみた

 イランで羊の頭と足を煮込む、キャレパーチェという料理がある。長時間煮込むことにより、頭からでる脂と旨味からなる濃厚スープと、柔らかくなって骨からキレイに剥がれる肉を食べるだ。高カロリーのため、朝食に食べるとよいと言われており、キャレパーチェを出す店は朝早くから開いている。


 肉屋に羊の頭が並んでいることがある。今回、自分で作るため、頭と足四本を購入した。400,000リアルだった。


 作り方はシンプルだ。まず、火であぶって残っている毛を燃やす必要がある。その後洗って水に入れて煮込むだけである。今回はアクをとるため、二回ゆで汁をこぼし、その後玉ねぎとニンニクをくわえて弱火で煮ながら寝た。




 朝起きると、スープは白濁し、肉もよく煮えていた。


 いとも簡単に骨から肉が剥がれ落ちる。


 スープは塩で味を調整し、ナンを浸して食べる。頭からも、ほほ肉、舌、目、脳などの部位があってそれぞれ楽しめる。

Monday, March 27, 2017

卑猥な形の石が立ち並ぶハーレド・ナビー

 イランの北西部、カスピ海に面するゴレスタン州は、カスピ海に面したギーラーン州やマーザンダラーン州並んで湿気が多く緑にあふれた地域(ジャンギャル:ジャングルの語源)である。トルクメニスタンとも国境を接し、州都のゴルガーンを離れればトルクメン人だけの都市や村が多い。

 ゴンバデカーヴースからキャラ―レという町、そこからさらに国境に向かったところにハーレド・ナビー(Khaaled nabi)という参詣地がある。

 

 聖者廟から丘の方に歩いていくと、なんとそこには男性器の形をした石が立ち並んでいる。



 なんでも、これはお墓らしい。よく見ると男性器にはリングをはめたかのように出っ張りがある。この出っ張りの数は生前の奥さんの数を示しているそうだ。よく見ると2つついているものもあった。

 地形自体も非常に興味深い形をしている。この丘を越えていくとトルクメニスタンだといわれた。


 トルクメンの少女たちは長い丈のワンピースを着ていてかわいらしい。


 ここへ行くためにはゴンバデカーヴース(Gonbad-e kavus)からキャラーレ(Kalaleh)というところまで行く必要がある。そしてそこから、ミヌダシュト(minudasht)という村まで行く。ここまでは乗り合いタクシーで行けるが、そこから先は幹線道路で車を捕まえる必要がある。木曜か金曜であれば多くのイラン人がピクニックのために外出するので、運が良ければ載せてもらえる。今回は老夫婦に乗せてもらった。

 ヒッチハイクのつもりで乗り、車内で話しているときもお金はいらないというようなことを言っていたのだが、帰りの最後の最後でお金を要求された。45万リアル(1200円ほどか)と、貸し切りタクシーに乗ることを考えれば高くないが、なにかモヤモヤした感じがした。実際、ここではローカルの人もお金を払って車に乗せてもらったりするのでヒッチハイクをするためには事前に念入りに交渉しないといけないだろう。




Sunday, March 26, 2017

クルディスタンのローピン

 クルディスタンの伝統料理に「キャラーネkalane」というものがある。



 小麦粉と水をこねてナンの生地を作り、そこに刻んだネギを乗せ、油をしいて鉄板で焼く。食べるときは丸めて食べるそうだ。


 これを見たとき、中華料理にも同じものがあるのを思い出した。『美味しんぼ』12巻で山岡達が吹雪で雪山の山荘に閉じこめられた際に、小麦粉とネギと油だけで中華料理のローピンを作る話がある。材料は同じで。ローピンは巻いてから焼くのにたいし、キャラーネは焼いてから巻いて食べる。



 肉を使うことが多いイラン料理の中で、ヴェジタリアンでも楽しむことのできる料理である。


Wednesday, March 1, 2017

イランで医療支援をする日本人女性

 先日、テヘランの「芸術家の家」公園で、日本人女性が講演をするというので、友人に誘われて聞きに行った。海外医療支援を続ける津谷静子さんの書籍のペルシア語訳出版を記念した講演だった。クルディスタンなどにイラン・イラク戦争の毒ガス被害者たちが暮らしていることや、サルダシュトという町にヒロシマ通りがあること、さらにペルシア語もわからない日本人の女性が彼らを訪れ、交流をしていることなど、まだまだイランについていろいろと知らないことがあるのだな、と感じた。
 講演の後、津谷さんから日本語版の本書をいただいた。「支援」という言葉から連想される熱い使命感というよりも、なぜか活動が坦々と続いてしまったということを強調しているので、うしろめたさを感じさせることもなく、自分も何かできることから始めればいいのだ、と思わされる。
 ぜひいろいろな人に読んでほしい。